大坪社労士事務所



人事制度構築

トライアングル人事システムとはバランスの取れた評価制度

今までの人事制度について

1) 「役割主義」・・・・役割を中心とした人事制度。 等級を役割のレベルに基づいて設定され、賃金は等級に対応しています。役割のレベルが違うから 等級も賃金も違うと説明でき、理論的です。
欠点・・・・組織変更や異動の際運用に苦労します。 能力を評価する仕組みが無い事
2) 「能力主義」・・・・能力を中心とした人事制度 評価は能力評価が中心で、賃金は等級・号俸の職能給と年齢給が中心です。
能力主義は能力が高まれば等級が上がります。そのため成長経済にはフィットした人事制度です。
欠点・・・・能力を評価するすることは難しいため評価にあまり差がつかず、昇格や昇給が年功化しや すい事が問題です。
3) 「成果主義」・・・・成果を中心とした人事制度。 成果を上げた社員には成果に見合った報酬を出してモチベーションを高め、会社の業績をアップさせようとするものです。
欠点・・・・成果のとらえ方が個人目標に偏重しているところに問題があります。
以上の欠点を補った次世代の人事制度が3つの制度のいいとこ取りしたのが
「トライアングル人事システム」です。

役割・能力・成果の3つをバランスよく評価します。

3つの評価はそれぞれ以下のような関係になっています。(反映)

①「賞与」は成果性を重視して「業績評価」を反映させます。
②「昇給」は毎年積み上げていくものですので、成果だけでなく能力の要素も加味し、
 「業績評価」と「知識技能能力評価」を8:2の割合で反映させます。
③「昇格」は「業績評価」、「知識技能能力評価」、「職務の評価」のすべてを反映させます。

(B) トライアングル人事システムの特徴 「トライアル人事システムには賃金表がありません。」
今までの評価制度のようにトライアル人事システムは「賃金表」(年齢給・号俸等)を持ちません。
そのため給与を決定するために「ステージ別役割給」(通常の基本給)というものを設定します。
(役割主義と似ています)
「賃金表によらない昇給管理の狙い・長所」
弾力的に昇給管理ができ、昇給原資との調整が容易であること。
トライアングル人事システムでは絶対評価を行い、その結果を能力開発に結び付けながら補正比率を 用いて昇給原資を各個人に配分する考えを取るため、昇給原資内に収めることができます。

具体的な設定とは

①まず第一にこのステージ(役割給)を設定します。

現行賃金総額から「ステージ手当」、「職位手当」、「家族手当」等を差し引いて残額を役割給とします。 このステージごとのレンジの範囲で昇給していきます。
レンジの上限に達したらそれ以上昇給がありませんので、賃金は上がりません。賃金を上げるためには昇格(レンジⅠ→レンジⅡへとか)するしかありません。
そのためには仕事を頑張っていい評価を取って上げてもらいます。

②賃金の組替を行います。

 トライアングル人事システムの賃金の構成は「役割給」(基本給に当るもの)、「ステージ手当」、「役職手当」を基本としています。

人事制度を再構築すると、人事制度の仕組みが変わります。そのためには賃金を組み替える前に「ステージ」への格付けを行う必要があります。
ステージ別役割能力要件表のステージに合わせて格付けをしていきます。
※賃金組替にあたっては賃金総額は変えないことが原則です。
現行賃金総額から「ステージ手当」、「職位手当」、「家族手当」等を差し引いて残額を役割給とします。

③ステージごとのウエイトと役割期待の「基本項目」を設定します。

④人事評価の仕方(昇給制度を設定します)

A)「個人目標」と「部門ごとの業績評価」を設定して、評価します。 昇給計算は次の計算式により行います。 昇給額 = 基本昇給額×ステージ係数×逓減率×補正比率 昇給評価得点の算出方法 昇給評価は以下に示すように「業績評価」と「知識技能能力評価」の2つの要素で行います。
「賞与」を考える場合の評価は、成果を重視して業績評価だけで行いますが、「昇給」は毎月の給与に関するものであり、安定的に支給されるものであるため、技術能力の要素を加えた方が良いでしょう。
業績評価と知識技能能力評価の得点割合は会社により異なりますが、80%、20パーセントの割合で計算する会社が多いものと思われます。

⑤賞与制度を構築します

付加価値が増えれば賞与は増額し、付加価値の伸びを上回る昇給や人員の増加があれば賞与を減少して総額人件費をコントロールする仕組みにします。
※付加価値とは売上高から外部購入価値を差し引いたもので、その中身は経常利益、人件費、金融費用、租税公課、賃借料、減価償却費等になります。
賞与は「基本賞与」と「業績賞与」に分けて支給します。
「基本賞与」は評価と関係なく賞与算定基礎額に応じて安定的に支給するものとします。
「業績賞与」は業績評価に対応して支給します。
基本賞与と業績賞与の配分は企業によりますがここでは基本賞与を60%、業績賞与を40%とします。